紙上事例が大変って聞くけど、実際に何が大変なの?
そんな噂を聞いて、不安を感じていませんか?
働きながら准看護師から正看護師を目指す通信制課程において、最大の山場と言われるのが**「紙上事例(しじょうじれい)」**です。
私も入学前は「レポートみたいなものでしょ?」と軽く考えていましたが、実際は**「終わらない、眠れない、正解がわからない」**の三重苦で、何度も心が折れかけました。
特に私の場合は、放送大学の単位取得や夜勤業務も重なっていたため、まさに時間との戦いでした。
でも、安心してください。紙上事例は「大変」ですが、決して「不可能」ではありません。コツと要領さえ掴めば、必ずクリアできます。
この記事では、通信制看護学校を卒業した私の経験をもとに、**「そもそも紙上事例とは何をするのか?」**という基本から、実習に行けない通信制特有の難しさ、そして乗り越えるためのポイントを具体的にお話しします。
これから入学される方、今まさに課題の山に埋もれている方のヒントになれば嬉しいです。
そもそも「紙上事例」とは?見えない患者さんとの戦い
「紙上事例」とは一言で言うと、**「ペーパー上の(架空またはモデルの)患者情報をもとに、看護過程を展開する演習」**のことです。
通常、看護学校の実習といえば病院に行って、実際の患者さんとお話ししたりケアをしたりしますよね。しかし、通信制の学校では、仕事をしている学生が多いため、長期間の実習に行くことが難しい場合があります。
そこで、病院実習の一部をこの「紙上事例」で代替するのです。
加えて、その患者の疾患について説明したり、解剖をイラストで描いたり、表をつくったり、問題について説明を求められたりといったことがあります。
具体的に「紙上事例」では何をするの?
学校から渡されるのは、A4用紙数枚にびっしりと書かれた患者さんの情報だけです。
- 患者プロフィール(Aさん、70代女性、独居など)
- 既往歴・現病歴
- 入院時の様子
- バイタルサイン、検査データ
- 普段の生活習慣、言動 など
これらの文字情報だけを頼りに、以下の「看護過程」をすべて文章で書き起こします。
- アセスメント:情報を分析し、患者さんに何が起きているか、何が必要かを考える。
- 看護診断:看護上の問題を明確にする(例:ガス交換障害、転倒転落リスクなど)。
- 看護計画(OP/TP/EP):具体的な目標と、それを達成するための計画を立てる。
- 実施・評価:計画を実施したと仮定し、どうなったかを予測して評価する。
現場の「看護記録」とは全く別物!
「普段、病院で記録を書いてるから大丈夫」と思っている准看護師さんこそ要注意です。
現場の記録は「事実を簡潔に」書くことが求められますが、紙上事例は**「なぜそう考えたのか?」という根拠(エビデンス)**を、教科書に基づいて論理的に展開しなければなりません。
実際の患者さんの顔が見えない分、「想像力」と「教科書の知識」をフル動員して、何枚ものレポート用紙を埋めていく作業。これが紙上事例の正体です。
コンソメ僕自身、割と現場では当たり前のことを省略していますが、学生という学ぶ立場です。なので、しっかりと「なぜそう考えたか?」と端折らずに書かないと全然足りないです。
なぜ「紙上事例」はこれほど大変と言われるのか?
「実習に行かなくていいなら楽じゃない?」 そう思うかもしれませんが、実は**「患者さんが目の前にいない」ことこそが最大の難関**なのです。
私が実際に取り組んでみて感じた「大変さ」の理由は主に3つあります。
1. 正解が見えにくい「論理パズル」
実際の現場なら、患者さんの表情や反応を見てケアを修正できます。しかし、紙上事例の患者さんは紙の中にしかいません。 そのため、すべての計画に対して「なぜそのケアが必要なのか?」という根拠を、教科書や文献から引用して証明する必要があります。 「なんとなく良さそう」という現場の感覚は通用しません。「〇〇という病態生理があるから、△△のリスクがあり、そのために××の観察が必要」という論理の組み立て(アセスメント)が少しでもズレていたり、内容が足りていないと容赦なく再提出になります。
2. 物理的な「量」と「スケジュール」の圧迫
1つの事例を仕上げるのに、レポート用紙10枚以上になることも珍しくありません。多い人だと40〜50枚程度書いている人もいました。
それが小児、母性、成人、老年…と各領域で重なってやってきます。
特に私の場合は、放送大学の単位取得も並行して進めていました。 「日中は仕事、夜は紙上事例、休日は放送大学の課題も…」 このようにタスクが重なると、頭の切り替えが追いつかず、常に何かに追われているようなプレッシャーがありました。これから入学される方は、放送大学の単位だけは入学前(あるいは早い段階)に取っておくことを強くおすすめします。未来の自分のために!
3. 孤独な戦い
通信制は基本的に自宅学習です。クラスメイトと「ここどう書く?」と気軽に相談できる環境が少ないため、行き詰まると何時間もパソコンの前でフリーズしてしまうこともあります。



僕が通っていた通信の看護学校では友達と話し合ってやること禁止されていました。似たような内容だと単位を認めないと釘をさされていました
通信看護学校出身の自分が教える!紙上事例を攻略する3つのコツ
これから紙上事例に挑む皆さんに、私が実践して効果的だった「乗り切るためのコツ」を伝授します。
コツ①:参考書への投資は惜しまない
原則教科書がメインで紙上事例を解いていくことになりますが、載っていないこともあります。そこで僕が実際に紙上事例で使った参考書を紹介します。 以下の参考書は「必須アイテム」として早めに揃えておきましょう。
紙上事例であると良い参考書
①事例で学ぶ 疾患別看護過程 シリーズ
紙上事例で似たような事例を看護展開付きで載せてくれている参考書です。この参考書に書かれている書き方がとても参考になります。紙上事例をやるうえで必須の参考書2冊です
②病気が見える シリーズ
病気が見えるシリーズは有名ですよね。いろんな病気が簡潔に載ってます。更に実習でも役に立ちます。



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コツ②:動画で学ぶ
看護展開をしていくわけですが、ゴードンかヘンダーソンのどちらかを使って書き進めていきます。
その書き方の方法ですが、YouTubeに書き方の動画があがっています。
ゴードンの書き方
コツ②:コツ③:完璧を目指さず「60点」でもいいから提出期限を守る
これが一番重要かもしれません。真面目な人ほど「完璧なレポート」を目指してしまいますが、通信制の課題は**「期限内に出すこと」**が最優先です。
どんなに時間をかけても、先生からの修正(赤ペン)は必ず入ります。 「一度で合格しよう」とは思わず、**「とりあえず形にして出して、先生の指導を受けてから直せばいいや」**くらいの気持ちでいること。これが、挫折せずに卒業まで走り切るためのメンタル術です。



ちなみに僕は紙上事例6個落ちました笑
それでもしっかり2年で卒業できました!!
まとめ:紙上事例は「看護師の思考回路」を作るトレーニング
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ここまで読むと「やっぱり通信制ってハードルが高いかも…」と尻込みしてしまったかもしれません。
正直に言って、紙上事例は楽ではありません。 仕事でクタクタになって帰宅し、紙上事例をやっていて周りが遊んでいたりしていると「なんでこんなことやってるんだろう…」と羨ましくなる瞬間が来るかもしれません。
でも、卒業した今だからこそ言えることがあります。 「紙上事例で苦しんだ分だけ、確実に看護師としての『思考力』が身につきます」
ただ業務をこなすだけでなく、「なぜ今、このケアが必要なのか?」を論理的に考えられるようになることは、正看護師として働く上で大きな武器になります。 また、紙上事例で必死に調べた病態や看護計画の知識は、そのまま看護師国家試験の「状況設定問題」を解く力にも直結します。決して無駄にはなりません。
今は目の前の課題の山が高すぎて、頂上が見えないかもしれません。 ですが、私と同じように働きながら、家事をしながら、放送大学と格闘しながら卒業していった先輩たちがたくさんいます。 要領よく、時には手を抜きながら、一歩ずつ進んでいけば必ず終わります。
これから入学される方、今まさに頑張っている方。 皆さんが無事に紙上事例を乗り越え、目指すナース像に近づけることを心から応援しています!


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