はじめに
通信看護学生の皆さん、勉強に仕事にお疲れさまです!
小児看護学実習での「紙上事例(ペーパーペイシェント)」**を使って看護過程を展開する課題がよく出ます。
しかし、**「情報が少なくて書けない」「発達段階をどう絡めればいいかわからない」**と悩むことも多いですよね。
今回は、小児領域で頻出の**「ファロー四徴症(乳児)」と「川崎病(幼児)」**について、**著作権に配慮して再構成した「練習用事例」**を作成しました。 この事例を読みながら、どこに着目してアセスメントすべきか、一緒に確認していきましょう!
事例①:ファロー四徴症(TOF)の患児
まずは、生後8ヶ月の乳児が根治手術を受けるケースです。
【練習用事例データ】
患者: Aくん(8ヶ月・男児)
診断名: ファロー四徴症(TOF)
現病歴: 生後まもなく心雑音とチアノーゼを指摘される。成長に伴い、泣いた時にチアノーゼが強くなることが増えたため、根治術目的で入院となった。
身体状況: 身長・体重は成長曲線の範囲内だがやや小さめ。太鼓バチ指あり。安静時のSpO2は70〜80%台だが、啼泣時は60%台まで低下し、全身のチアノーゼが増強する。
発達段階: 首すわり、寝返りは完了。お座りは少し不安定。人見知りが始まり、母親の姿が見えないと激しく泣く(後追い)。
家族の状況: 両親と3人家族。母親は「もっと元気に産んであげられなくて申し訳ない。この子が泣くと、どうしていいか不安になる」と涙ぐむ場面が見られる。父親は協力的で、病気について熱心に調べている。
💡 この事例のアセスメント・ポイント
1. 「泣くこと」が命取りになる(無酸素発作のリスク) この事例の最大のポイントは、**「8ヶ月=人見知り・分離不安のピーク」であることと、「泣く=低酸素発作(スペル)の誘引」**であることです。
- S情報・O情報: 「母親が見えないと激しく泣く」「泣くとSpO2が60%台まで下がる」
- 看護問題: 啼泣による心負荷、無酸素発作のリスク
- 対策: バイタル測定や処置は、可能な限り母親に抱っこしてもらった状態で行う。入院環境への恐怖心を減らすため、お気に入りのおもちゃを活用する。
2. 家族(母親)の精神的ケア 母親の「申し訳ない」という言葉から、自責の念が読み取れます。
- 患児のケアだけでなく、母親が少しでも前向きに手術を迎えられるよう、話を傾聴し、できている育児を肯定する関わりが必要です。
事例②:川崎病の患児
次は、1歳7ヶ月の幼児が急性期治療を受けるケースです。
【練習用事例データ】
患者: Bくん(1歳7ヶ月・男児)
診断名: 川崎病
現病歴: 3日前から38.5℃以上の発熱があり、抗菌薬を内服したが解熱せず入院。
入院時の症状:
- 5日以上続く発熱
- 両側眼球結膜の充血
- 口唇の紅潮、イチゴ舌
- 体幹の不定形発疹(BCG接種部位の発赤あり)
- 手足の硬性浮腫(ぱんぱんに腫れている)
- 頸部リンパ節腫脹
- 治療方針: アスピリン内服+免疫グロブリン療法(IVIG)を開始。
- 発達・生活: 独歩可能。イヤイヤ期に差し掛かり、気に入らないことがあると物を投げたり泣きわめいたりする。食事は口の中が痛いため(口内炎など)、水分以外あまり摂りたがらない。
💡 この事例のアセスメント・ポイント
1. 6つの主要症状と合併症の観察 川崎病の診断基準となる症状が揃っています。看護師はこれらの症状の推移(改善しているか?)を観察すると同時に、合併症である「冠動脈瘤」の兆候を見逃さないことが最重要です。
- 観察項目: 発熱のパターン、発疹の有無、機嫌(心筋梗塞などによる胸痛・不機嫌がないか)。
2. 治療に伴うリスク管理
- 免疫グロブリン療法: 血液製剤であるため、投与中のショック(アナフィラキシー)に注意し、モニター心電図を管理します。
- アスピリン: 血液をサラサラにする薬なので、転んだ時の出血や、歯茎からの出血に注意が必要です。
3. 「動きたい盛り」の安静保持 1歳7ヶ月は、じっとしているのが難しい年齢です。しかし、心臓への負担を避けるために急性期は安静が必要です。
- 看護の工夫: 無理に抑えつけると余計に泣いて心負荷がかかります。ベッドの上で遊べるDVDや絵本を用意したり、親に添い寝してもらったりして、**「楽しみながら安静を保つ」**工夫が看護の腕の見せ所です。
まとめ
紙上事例を解くときは、以下の「掛け算」を意識すると看護計画が見えてきます。
- 【ファロー四徴症 × 8ヶ月】
- 病態(チアノーゼ)× 発達(人見知り)= 泣かせない工夫が最優先!
- 【川崎病 × 1歳7ヶ月】
- 病態(血管炎)× 発達(活動性・イヤイヤ)= 遊びを取り入れた安静保持!
この視点を持って、実習記録や課題に取り組んでみてくださいね。 皆さんの実習が実りあるものになりますように!

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